2013.07.26更新

 自動車事故の過失割合の基準を、主として別冊判例タイムズ16号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」に準拠して調べてみました。
 今回は、直進四輪車 対 直進四輪車、一方に一時停止の規制がある交差点の事故の事例。
 一時停止標識が設けられている交差点では、停止線の直前で一時停止しなければならず、一時停止した自動車は交差道路を通行する自動車の進行を妨げてはならない(道路交通法43条)。交差点の形によっては、停止線に止まった状態では左右の安全確認ができない場合もあるが、その場合は、一時停止後、徐行発進しつつ左右の安全を確認しなければならない。
 そこで、過失割合の基準は、A車に一時停止の規制がなく、B車に一時停止の規制がある場合、
(1)  A車とB車が同程度の速度 の場合、     A車 20 対 B車 80
(2)  A車減速なし、B車減速あり の場合       A車 30 対 B車 70
(3)  A車減速あり、B車減速なし の場合      A車 10 対 B車 90
(4)  B車が一時停止後に進入した場合       A車 40 対 B車 60
とされている。

投稿者: 柏木幹正法律事務所

2013.07.04更新

 また、別の例(松山地方裁判所平成20年7月1日判決)では、不正経理をしていた従業員が上司から繰り返し叱責されて自殺したケースについて、上司がこの従業員に対し、他の職員から見て明らかに落ち込んだ様子を見せるまで繰り返し、叱責したり、「会社を辞めれば済むと思っているかもしれないが、辞めても楽にならない」旨の発言をしたことについて、「不正経理の改善等の指導自体が正当な業務の範囲に入ることを考慮しても、社会通念上許される業務上の指導の範疇を超えるものと評価せざるをえない」として上司の叱責を不法行為と認め、会社の安全配慮義務違反も認定して、自殺した従業員の相続人からの損害賠償請求を認めた。
 もっともこのケースでは不正経理をした従業員側にも6割の過失があるとして、過失相殺を認めている。

 いずれにしても、リストラとも絡んでパワハラが問題視されるケースが増えている。パワハラ被害を受けた従業員は、自殺するまで心理的負荷を溜め込まず、早く専門家に相談することが肝心であり、会社側は、パワハラ防止の社内規制を設け講習会等の事前予防措置ことることが必要である。

投稿者: 柏木幹正法律事務所

2013.07.03更新

 東京地方裁判所平成19年10月15日判決は、上司がAさんに対して発した言葉の内容にはAさんの人格や存在自体を否定するものも含まれ、過度に厳しいこと、上司のAさんに対する態度には嫌悪の感情の側面があること、上司はAさんに対し相手の立場や感情に配慮しない極めて直截な言い方をしていたこと等を指摘し、
「上司のAさんに対する態度によるAさんの心理的負荷は、人生においてまれに経験することもある程度に強度のものということができ、一般人を基準として、社会通念上、客観的にみて、精神障害を発症させる程度に過重なものと評価するのが相当である」
とし、Aさんの自殺は業務に起因するものとして労災に当たることを認めた。
 (以下、次回へ)

投稿者: 柏木幹正法律事務所

2013.07.02更新

投稿者: 柏木幹正法律事務所