2013.05.08更新

 ただし、例外として、離婚原因をつくった責任を負うべき配偶者(有責配偶者)からの離婚請求は認められない。早い話が、妻以外の女性と情を結んだ夫が妻に三行半を下すような手前勝手な離婚請求には法律は手を貸さないということである(もっとも、最近は夫と妻が逆のケースも珍しくない)。
 
 判例は長らくの間、特殊なケースを除いては有責配偶者からの離婚請求は一切認めないというスタンスを崩さなかった。しかし、本当にそれでいいのかと思えるようなケースもある。夫が妻以外の女性と不貞関係を結び、その後30年余りにわたって妻と別居し、不貞相手の女性と事実上の夫婦として生活を続け、その女性との間にできた子供も成人して、というところまでくると、離婚を認めざるを得ないのではないかということになる。
 昭和62年に最高裁は、まさにこのようなケースで初めて有責配偶者からの離婚請求を認めた。
                                                                        (以下、次回へ)

投稿者: 柏木幹正法律事務所