2013.04.24更新

 このように、離婚や交通事故のような類型的なケースの慰謝料は、これまでに積み重ねられてきた裁判事例によって、おおよその金額の基準ができている。
 つまり、裁判所が苦痛の値段を付けている。欧米において認められている慰謝料額は非常に低い。精神的苦痛の値段の低さは、その国の人権尊重の度合いの低さを表しているような気がする。人間の値段が低いということでもある。失礼ながら、中国の慰謝料基準は日本に比べても非常に低い。このことは、以前に中国で修学旅行中の高校生たちが列車事故で死亡した際に問題になった。もっとも、これには貨幣価値の違いがもちろん影響している。
 
 ところで、世の中、苦痛に満ちている。
 離婚や交通事故のように苦痛の値段についての類型的な基準があればまだ良いが、そうでない問題もたくさんある。
 
 上司からセクハラ行為を受けた場合の慰謝料は幾ら? 電車の中で痴漢行為をされた場合の慰謝料は幾ら?
 週刊誌にでっち上げの記事を書かれて名誉を毀損された場合の慰謝料は幾ら? プライバシー侵害の慰謝料は幾ら?
 騒音被害の慰謝料は幾ら?

 これらを考えだすと、今夜も眠れない。

投稿者: 柏木幹正法律事務所